決算を締めるとは?締めが必要な理由や締め作業について解説

「決算を締める」という言葉を使っている会社もあるでしょう。事業期間の期末には「締め」作業が必要になります。 

しかし、締めが必要な理由や具体的な締め作業についてわからない点がある方もいるのではないでしょうか。今回は決算を締めるに焦点を当て、「締め」が必要な理由や具体的な作業について解説します。 

決算を締めるとは 

決算を締めるとは、平たく言えば、事業期間末日の数字を決定することです。各勘定科目の金額を確定させていきます。 

各勘定科目の金額を決めることは、財務諸表や申告書の作成に直接つながってきます。決算の「締め」はとても重要といえるのです。 

締めが必要な理由 

それでは、決算の「締め」がなぜ必要なのか、その主要な理由としては、

  • 正確な財務諸表に基づいた正確な税額の計算
  • 損益の正確な期間帰属に基づく当期の業績の把握と次期以降の事業計画の策定

の二点があげられます。

①正確な財務諸表に基づいた正確な税額の計算

決算締めにより、実際の経営成績を反映した財務諸表を作成します。これには、正確な売上、費用、利益の計上が含まれ、それに基づいて企業が納めるべき税金の正確な計算が必要になります。適切に税額を計算し申告することは、将来的な追徴税のリスクを減らす上で重要です。

②損益の正確な期間帰属に基づく当期の業績の把握と次期以降の事業計画の策定

決算締めによって、その期間内の正確な損益を把握することができます。これは、企業が直面する財務上のリアリティを理解し、将来の投資、予算配分、事業展開などの戦略的な意思決定を行うための基盤となります。また、適切な期間帰属に基づく業績の把握は、次期以降の成長戦略を立てる際の重要な指標にもなります。

以上の点から、決算締めは税務上の義務を果たすだけでなく、企業経営の質を高め、長期的な成功へと導くためのステップといえます。

締め作業 

各勘定科目を集めて貸借対照表を作成し、勘定の残高を時期に繰り越していきます。勘定科目の締め方は次のとおりです。 

  • 損益振替をする 
  • 決算振替をする 
  • 資産負債純資産勘定を締め切る 

順に詳しくみていきましょう。 

①損益振替をする 

損益振替とは、売上高や受取利息などの収益項目と売上原価や給与などの費用項目を損益勘定に転記する処理のことをいいます。 

損益振替をする理由のひとつは、収益費用は当期にかかるもので翌期には0からスタートとなるためです。もうひとつの理由は、損益勘定に振り替えて、「繰越利益剰余金」勘定に集計するためです。 

【例】200,000円分の仕入および500,000円の売上があった場合 

借方貸方
売上 500,000損益 500,000
損益 200,000仕入 200,000

②決算振替をする 

決算振替とは、損益振替によって集計された損益勘定を「繰越利益剰余金」に集計することです。 

1年間の利益または損失を繰越利益剰余金に振り替えます。 

例えば、仕訳は次のようになります。 

借方貸方
損益 300,000繰越利益剰余金 300,000

③資産、負債、純資産勘定を締め切る 

資産、負債、純資産勘定を締め切り、次期繰り越しをします。勘定を締め切る際は、一本線の「合計線」や二重線の「締切線」を書きます。各勘定の貸借差額が「次期繰越」の金額です。 

実務においては、「次期繰越」を赤文字で記入します。 

なお、これら①から③の締め作業は、市販の会計ソフトを用いることで容易に行うことができます。特に以下のようなクラウド型の会計ソフトを推奨しております。

クラウド会計ソフト freee

Money Forward クラウド会計

残高の確認方法 

決算時には、各勘定の残高を確認する作業が実施されます。主要な勘定科目の残高を確認する方法をみていきましょう。 

現金預金 

現金は実際に数えて確認します。預金に関しては、銀行に残高証明書を発行してもらったり、通帳記入したりして確認します。 

棚卸資産 

実際にいくつ保有しているのか、また金額はいくらかを確認することが必要です。 

棚卸資産の評価方法については、こちらの記事を参考にしてください。

売掛金 

売掛金に関しては、取引先に残高確認を行うのがよいでしょう。 

借入金 

借入金は預金と同様に、銀行から残高証明書を発行してもらい確認するのが一般的です。 

まとめ 

決算の締めはなぜ必要なのか、また決算時の締め作業とはどのようなものなのかについて解説しました。締め作業は、それぞれの意味を理解しながら進めるのが重要となります。 

決算の締め作業によって会計年度を終了させることから、決算において帳簿上の残高と実際の残高を一致させることは不可欠です。もしずれていれば原因を調査し、調整しなければなりません。 

しかしながら、決算の締め作業は漏れが生じやすいものです。「締め作業がわからない」「締めの数字が合わない」など決算の締めでお困りのことがありましたら、【決算直前・無申告おまかせサポート】に、いつでもお問い合わせください。