決算賞与に税金はかかる?通常の賞与との違いも解説 

想定より多く利益が出た際に節税対策として利用されることの多い「決算賞与」。決算賞与にも税金はかかるのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。 

今回は、決算賞与に税金はかかるのかについて解説します。通常の賞与との違いについてもお伝えしますので参考にしてください。 

決算賞与にも税金がかかる 

決算賞与は給与の一種です。よって、通常の給与や賞与と同様に税金や社会保険料等を引いて支給することになります。 

決算賞与は給与所得として扱われ、所得税がかかることになります。 

賞与にかかる所得税の計算方法 

では、賞与にかかる所得税はどのように計算するのでしょうか。賞与にかかる所得税の計算方法について説明します。 

【通常の場合】 

  • 前月の給与-社会保険料等 
  • ①の金額と扶養親族等の数を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」にあてはめて税率を求める 
  • (賞与から社会保険料等を差し引いた額)×②の税率=賞与に係る所得税 

具体例:前月の給与 30万円 賞与の金額 40万円(社会保険料等控除後) 

社会保険料等 5万円 

扶養人数 3人とする 

  • 30万円-5万円=25万円 
  • 2.042% 
  • 40万円×2.042%=8,168円 

【前月の給与の金額の10倍を超える賞与を支払う場合】 

  • (賞与から社会保険料を差し引いた金額)÷6
  • ①+(前月の給与から社会保険料等を引いた金額) 
  • ②を月額表に当てはめて税額を求める 
  • ③-(前月の給与に対する源泉徴収税額) 
  • ④×6=賞与に係る所得税 

具体例:前月の給与 15万円(社会保険料等控除後) 

賞与の金額 160万円 

扶養親族の数 1人 

  • 160万円÷6=266,666円(1円未満の端数切捨て) 
  • 266,666円+15万円=416,666円 
  • 14,740円 
  • 14,740円–1,360円=13,380円 
  • 13,380円×6=80,280円 

【前月に給与の支払いがない場合】 

  • (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6
  • ①の金額を「月額表」に当てはめて税額を求める 
  • ②×6=賞与に係る所得税 

具体例:賞与の金額 72万円(社会保険料控除後の金額) 扶養親族の数 1人 

  • 72万円÷6=12万円 
  • 120円 
  • 120円×6=720円 

参照:国税庁タックスアンサーNo.2523「賞与に対する源泉徴収」 

国税庁 「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」 

賞与にかかる社会保険料 

賞与から引かれる社会保険料等は次のとおりです。 

  • 健康保険料 
  • 厚生年金保険料 
  • 雇用保険料 

賞与から引かれる金額の計算方法は以下のようになります。 

【健康保険料】 

賞与(1,000円未満は切り捨て)×健康保険料率×1/2 

【厚生年金保険料】 

賞与×厚生年金保険料率(0.183)×1/2 

参照:日本年金機構「保険料の計算方法について」 

日本年金機構「厚生年金保険料額表」 

【雇用保険料】 

賞与×雇用保険料率 

令和5年分の雇用保険料率については、厚生労働省のホームページを参考にしてください。 

参照:厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」 

以上の合計額が賞与から差し引かれる社会保険料等の金額になります。 

簡易的な手取り額の計算方法 

先に述べたような税金の計算をせずとも、賞与の手取り額を知ることができます。賞与の手取り概算額を知りたい場合の簡易的な計算方法を紹介します。

【手取り概算額計算方法】 

決算賞与×0.8=決算賞与の手取り概算額 

賞与の種類 

賞与にはいくつか種類があります。「基本給連動型賞与」「業績連動型賞与」および「決算賞与」です。 

「基本給連動型賞与」は、基本給に連動して賞与の支給が決定します。基本給の〇か月分といった形で支給されます。支給の時期は夏季と冬季の年2回定期的にしている会社が多いようです。 

「業績連動型賞与」とは、各人の仕事成果によって賞与が決まる制度です。海外では一般的な制度で、日本でも導入する会社が増えているようです。賞与額が業績に連動しているため、個人や部署の成績によって支給が異なってきます。 

「決算賞与」は事業年度の業績に応じて支給される賞与です。従業員に利益の還元をする目的で支給されます。要件を満たせば、従業員への支給前でも損金に計上できるため、節税対策として利用されることが多々あります。 

例えば、1,000万円の利益があったとして、税率25%だと仮定して税金を計算してみましょう。 

1,000万円×25%=250万円 

となります。 

では次に、決算賞与を300万円支給することにしたとしましょう。すると税金額は、 

(1,000万円-300万円)×25%=175万円 

となります。 

決算賞与を支給した場合としなかった場合では税金に75万円の差が発生するのです。もちろん決算賞与を支給することはメリットばかりではありません。 

決算賞与の詳細はこちらの記事を参考にしてください。 

なお、いずれの賞与も支給義務はありません。 

まとめ 

決算賞与の税金について解説しました。 

決算賞与は通常の賞与とは異なるものの給与の一種です。所得税や健康保険料などの税金がかかります。支給する際には注意が必要でしょう。 

決算賞与についてお困りの方は、【決算直前・無申告おまかせサポート】に、いつでもお問い合わせください。