確定申告に必要な帳簿は?種類や記載内容を解説

引用元:photoAC https://www.photo-ac.com/main/detail/23710559&title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E6%9B%B8%E9%A1%9E+%E3%83%87%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8#goog_rewarded

確定申告の際に必要な帳簿。個人事業主は白色申告、青色申告に関係なく帳簿付けをしなければなりません。

今回は帳簿の種類や記載内容、帳簿をつけなかった場合のペナルティなどについて解説します。

帳簿とは

帳簿とは、取引年月日や取引先、金額など事業に関する日々の取引を記録する帳面のことです。お金の流れを把握したり、正しく確定申告したりするために必要になります。

2014年1月以降は、青色申告と白色申告に関係なく、帳簿の作成と保存が義務化されました。

帳簿をつける理由

では、なぜ帳簿をつける必要があるのでしょうか。詳しく解説していきます。

確定申告に必要

まずは確定申告に必要ということが理由として挙げられます。日本の所得税は申告納税制度を採用しており、納税者自らが所得金額や税額を正しく計算して申告し、納税することとなっています。

ゆえに、1年間の収入金額や必要経費の金額を帳簿につけておくことが必須となるのです。

経営状況を把握するために必要

事業に関するお金の流れを記録することで、経営状況を把握するのにも役立つでしょう。どのくらいの収入があって、いくら経費がかかっているのかを知ることで、収入を上げるための方向性や、経費削減の方法などを考えられるようになります。

帳簿の種類と記載内容

ここで、帳簿の種類と記載内容についてお伝えします。

帳簿には「主要簿」と「補助簿」があります。一覧は以下のとおりです。

帳簿種類保存期間
主要簿総勘定元帳、仕訳帳7年
補助記入帳現金出納帳、預金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳7年
補助元帳商品有高帳、仕入先元帳、得意先元帳7年

主要簿

主要簿とは「総勘定元帳」と「仕訳帳」のことです。青色申告の際には、2種類の主要簿をもとに青色申告決算書を作成します。

「仕訳帳」は、日々の取引を日付順に記載する帳簿です。「借方」「貸方」に分けて記載します。仕訳帳に記載すべき内容は、

  • 日付
  • 勘定科目
  • 金額
  • 摘要

です。

仕訳帳は総勘定元帳のもとになる大切な書類ですので、正しく記帳するようにしてください。

「総勘定元帳」は、勘定科目ごとの取引内容を記した帳簿です。仕訳帳の内容を勘定科目ごとに転記していきます。

補助簿

補助簿とは、主要簿の内容を詳しく知るために作成する帳簿です。補助記入帳と補助元帳に分けられます。一覧のとおり、補助記入帳には現金の出入りを記す現金出納帳や固定資産の内容を記す固定資産台帳が該当し、補助元帳には商品ごとの在庫数や原価を記す商品有高帳や仕入先ごとの仕入量を確認できる仕入先元帳が挙げられます。

10万円のみの控除を受ける青色申告者や白色申告者は、補助簿を作成するのみで済みます。

帳簿作成の流れ

帳簿作成のおおまかな順番は次のとおりです。

  1. 通帳や領収書などの関係書類を整理
  2. 記帳する
  3. 利益や損失を計算する

②の部分に関する流れは「簡易簿記」と「複式簿記」で異なります。

簡易簿記

「簡易簿記」では、売上や経費などの発生に注視して集計します。よって、発生した取引の種類に合わせて、売掛帳や買掛帳などに記帳していきます。

複式簿記

「複式簿記」においては、日々の取引を勘定科目ごとに仕訳して仕訳帳に記帳する必要があります。その後、総勘定元帳に転記していきます。

青色申告特別控除を受けるために

青色申告特別控除には「65万円」「55万円」「10万円」の3種類があります。この中で「65万円」「55万円」控除の適用を受けるには、原則として複式簿記の方式で記帳している必要があります。記帳に基づいて作成した貸借対照表や損益計算書などを確定申告に添付する必要があるためです。

簡易簿記でも「10万円」の控除を受けることは可能です。

法律改正等による帳簿作成への影響

ここからは、近年の法律改正等により帳簿作成に影響があるのかについて解説します。

インボイス制度による帳簿作成への影響

令和5年10月よりインボイス制度が開始されました。インボイス制度下においては、一定の事項を記載した帳簿と適格請求書等の保存が仕入税額控除の条件となります。

帳簿へは仕入や経費について、税率ごとに区分して記帳し、インボイス発行業者とそれ以外で分けて記帳します。

電子帳簿保存法改正による帳簿作成への影響

ペーパーレス化の推進を目的とした電子帳簿保存法。電子帳簿保存法における区分の中で、「電子帳簿等保存」の部分が気になるところですが、こちらは義務ではありません。よって今までどおりの書面保存で問題ありませんが、今後の動向に注意が必要です。

帳簿を付けなかった場合のペナルティ

帳簿をつけなかった場合のペナルティとしては、過少申告加算税や無申告加算税などが考えられます。

令和4年度の税制改正で、記帳義務の適正な履行や帳簿の不備不保存を未然に防ぐため、過少申告加算税と無申告加算税の加重措置が設けられました。令和5年分の所得税および消費税の確定申告から適用されます。

対象となる年分の申告書につき、税務職員から「売上に関する調査に必要な帳簿」の提示を求められ、かつ、「帳簿を提示しない」、「記載漏れが多い」などに該当する場合には、本来記載すべき事項に関する売上漏れ等に関して課される過少申告加算税や無申告加算税の割合が10%もしくは5%加重されます。

詳細については、国税庁の資料をご確認ください。

国税庁「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関する Q&A」

まとめ

確定申告に必要な帳簿の種類や記帳の流れなどについて解説しました。記帳しなかった場合、正しい確定申告はできません。また、記帳していなかった場合のペナルティもあります。日々の事業取引を適切に記帳し、正しく申告するようにしましょう。

「どのような帳簿をつけたらいいかわからない」「仕訳がわからない」など記帳について不明点がありましたら、【決算直前・無申告おまかせサポート】に、いつでもお問い合わせください。