決算後の申告期限はいつ?申告書の提出方法や納税の方法も解説

法人も個人事業主も、決算のあとには確定申告書を提出し、税金を納める義務があります。しかしながら、法人と個人事業主では申告の期限が違ってきますし、納める税金の種類も異なってきます。 

今回は、法人や個人事業主が守らなければならない申告期限や申告書を提出する方法、納税の方法を解説しますので参考にしてください。 

法人の申告期限は決算日の翌日から2か月 

法人が申告および納付すべき税金は複数あります。 

・法人税 

・法人住民税 

・法人事業税 

・消費税及び地方消費税 

などです。 

それぞれ確定申告の期限がありますのでお伝えします。 

税目申告および納付期限
法人税決算日の翌日から2か月以内 
法人住民税決算日の翌日から2か月以内 
法人事業税 決算日の翌日から2か月以内
消費税及び地方消費税 課税期間末日の翌日から2か月以内 

以上のように、会社の決算期が違えば期限も違ってきます。 

例えば3月決算の法人では、申告および納付の期限は5月末日です。12月決算の法人の場合は、申告および納付期限は2月末日になります。なお、期限にあたる日が土日祝日のケースでは、翌営業日が期限日です。

提出先については、法人税と消費税及び地方消費税に関する書類は法人の納税地を管轄する税務署、法人住民税と法人事業税は法人の住所がある地方自治体となります。 

個人事業主の申告期限は法人と違う 

個人事業主の場合、法人とは申告および納付期限が違ってきますし、申告すべき税金の種類も異なってきます。個人事業主が申告および納付すべき税金は、 

・所得税 

・消費税及び地方消費税 

・個人住民税 

・個人事業税 

などです。 

税目申告および納付期限
所得税 3月15日 
消費税及び地方消費税 3月31日 
個人住民税 3月15日 
個人事業税 3月15日 

所得税と消費税及び地方消費税の申告書は納税地を管轄する税務署に提出します。個人住民税と個人事業税については住所地にある地方自治体が提出先です。ただし、所得税の申告をした人は、個人住民税や個人事業税の申告書を提出する必要はありません。 

申告書を提出する際の必要書類は? 

申告書を提出する際に必要な書類についても、法人と個人事業主では違ってきます。法人の場合は、 

・申告書 

・貸借対照表 

・損益計算書 

・株主資本等変動計算書 

・勘定科目内訳明細書 

・事業概況書 

などです。

一方個人の場合は、

・申告書 

・青色申告決算書 

・収支内訳書 

などの書類が必要です。状況に応じて提出すべき書類は変わってきますので注意してください。 

申告書の提出方法は複数ある 

申告書の提出方法にはいくつか種類があります。代表的なものをお伝えします。 

窓口で提出 

まずは税務署の窓口で直接提出する方法です。税務署に足を運ぶ手間はかかりますが、確実な方法であるといえるでしょう。あわせて納税もできます。 

税務署に提出する際は、控えに収受印を忘れずにもらうようにしてください。 

郵送で提出 

所轄の税務署に郵送することも可能です。送付先は国税庁のホームページに掲載されています。郵便の場合、郵便の消印日が提出日になります。例えば3月15日に郵便局に出した場合で、その日の消印が押されていれば、税務署への到着が3月17日になったとしても3月15日に提出したことになるのです。 

確実に届くか心配な人は、特定記録や簡易書留を利用するとよいでしょう。また、郵送する際は切手を貼った返信用封筒を同封し、控えを返送してもらうようにしましょう。 

電子申告で提出 

e-Taxに登録していれば電子申告が可能です。申告期限当日中に送信できれば問題ありません。 

時間外文書収受箱に投函して提出 

税務署の窓口は17時に閉まってしまいます。しかしながら、時間外収受箱を利用すれば、閉まった後でも申告書を提出することが可能です。 

仕事の都合でどうしても期日の17時以降しか提出できなくなってしまった、という場合に利用できます。申告書は翌日朝に税務職員が回収し、前日の日付の収受印を押印します。 

期限までに申告できなかった場合はどうするか 

申告期限を認識はしていても、不測の事態で期限に間に合わなることもあるでしょう。申告期限に間に合わなかった際には、できる限り早く申告をおこなうようにしましょう。というのも、申告期限に遅れれば遅れるほどペナルティが重くなるからです。 

期限を過ぎても自ら申告すれば、納税が遅れた分のペナルティはあるものの、無申告であったことのペナルティが軽減されます。しかし、申告をしないまま放置し調査となった場合は、無申告であったことへのペナルティと納税が遅れたことに対するペナルティの両方がかかってきます。 

申告期限に遅れたことに気付いたら、まずはできるかぎり早く申告書を出すことを考えましょう。 

申告期限を守らなかった場合のペナルティ 

では、申告期限を守らなかった場合にはどのようなペナルティが課せられるのでしょうか。 

延滞税 

延滞税は、納税が遅れたことに対するペナルティです。原則として納付すべき期日の翌日から納付する日までの日数に応じてかかってきます。 

納期限の翌日から2か月は年7.3%の割合で課せられます。ただし、令和3年1月1日以降の期間は、「7.3%」と「延滞税特例割合基準+1%」のいずれか低い割合で計算することになります。 

また、納期限の翌日から2か月を経過した日以後の割合は、原則として14.6%です。令和3年1月1日以後については「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合で計算します。 

無申告加算税 

申告をしていなかったことに対するペナルティに該当します。原則として、納付すべき税額に対して一定の割合をかけて計算されます。 

・納めるべき税額のうち、50万円までの部分 

納めるべき税額×15% 

・納めるべき税額のうち、50万円を超える部分 

納めるべき税額×20% 

ただし、申告期限を遅れても自主的に申告書を提出した場合には、無申告加算税が5%に減額されます。 

重加算税 

無申告で内容が悪質だった場合は、重加算税が課せられることもあります。無申告加算税に代わって重加算税が課せられる場合の割合は40%です。本来納めるべき税額が100万円だとしたら、重加算税は40万円にもなるということです。 

青色申告の取消し 

青色申告の承認を取り消されてしまうケースもあります。法人が青色申告による税法上のメリットとしては、欠損金が10年間繰り越せることや欠損金の繰戻還付ができることなどです。個人の場合は青色申告特別控除があります。 

青色申告を取り消されてしまうと、このようなメリットがなくなってしまうのです。 

その他 

その他対外的に評価が下がることも考えられ、融資を受けたいと考えた際に審査に通らないケースもあるでしょう。取引先からの信用が落ちるといったことも生じるかもしれません。 

申告の期限を過ぎても認められるケースとは? 

非常事態が生じて、どうしても申告期限に間に合わないということもあるでしょう。次のような場合は、申告期限を過ぎてしまってもやむを得ないとされています。 

災害の場合 

地震や大洪水などの災害が発生した際には、申告期限の延長が認められています。国税庁長官が地域や期日を指定した場合、指定地域に該当すれば特に手続きは必要なく申告と納付の期限が延長されます。 

地域指定に該当しないケースでも、期限延長の申請書を税務署に提出し承認を得ることで、期限の延長が認められることもあります。延長できる期間はやむを得ない事由がやんだ日から2か月以内です。 

また、申告書はなんとか作成できたが納付が厳しいという人もいるかもしれません。そういった場合に使えるのが「納税の猶予」という制度です。「納税の猶予」は申請すると原則1年以内に限り納税が猶予されます。 

納税の方法については、猶予期間中に分割納付する場合と1年間納税が据え置かれる場合があります。 

株主総会の開催 

法人の場合、株主総会日により事情が変わってくることもあるでしょう。会社法上、株主総会は決算日から3か月以内に開催されればよいとされています。よって、株主総会が決算日の2か月より後に開催される会社もあります。そのようなケースでは、事業年度が終了するまでに申請することで申告期限を1か月延長することが可能です。 

なお、この場合納期限は延長されないため、申告期限を過ぎて納付する場合は「利子税」がかかってくることに留意してください。 

納税の方法 

ここからは納税の方法についてお伝えします。納税の方法はいくつかありますので紹介します。 

金融機関の窓口で納付 

納付書に現金を添えて窓口で納付することになります。金融機関には納付書が備え付けられていることが多いですが、事前に税務署で納付書をもらっておくほうが確実です。

税務署の窓口で納付 

税務署の窓口で納付することもできます。税務署の窓口は平日8時30分~17時までです。クレジットカードの利用はできず、現金で支払うことになります。 

コンビニで納付 

24時間利用できて便利なコンビニエンスストアでも納付が可能です。コンビニエンスストアで使える納付書をあらかじめ準備しておく必要があります。 

スマホアプリで納付 

スマホアプリ納付とは、国税庁長官が指定した納付委託者が運営するスマートフォン決済専用のWEBサイトから、納税者がPayPayやd払いなど利用可能なPay払いを選択し納付を委託する方法です。納付する金額が30万円以下の場合に利用できます。 

クレジットカードで納付 

クレジットカードによる納付もできます。インターネットでクレジットカード支払いの機能を利用して、国税庁が指定した納付受託者へ国税納付の立て替え払いを委託することにより国税を納付する手続きです。 

電子納税 

自宅やオフィスからインターネットを経由して納付手続きを行う方法です。領収書は発行されません。ダイレクト納付やインターネットバンキングから納付する方法があります。 

まとめ 

法人や個人事業主の申告期限や申告書の提出方法、納税の方法について解説しました。申告や納税は期限内におこなうことが重要です。 

しかしながら、さまざまな事情により期限ぎりぎりになってしまったり、間に合わなかったりすることもあるでしょう。申告のことでお困りの際には、【決算直前・無申告おまかせサポート】に、いつでもお問い合わせください。