確定申告で税金が還付されるケースと戻ってくる金額の確認方法を解説

税金を払い過ぎている方は、確定申告書を提出することで税金が還付されます。 

ただ還付金を受け取るためには手続きが必要であり、一定期間内に手続きを行わないと払い過ぎた税金は戻ってきませんのでご注意ください。 

本記事では、確定申告で還付金が発生するケースと還付金の受け取り方、そして税金がいつ還付されるかについて解説します。 

確定申告書の提出により還付金が受け取れるケース 

確定申告書を提出することで税金が戻ってくるのは、先に納めていた所得税の金額が実際の納税額よりも多い場合です。 

会社員は毎月の給料から税金が天引きされていますし、個人事業主は予定納税等により所得税を事前に納めていることがあります。 

税金の支払いに関して過不足が無ければ還付金は発生しませんが、先に納めた税金と実際に納税すべき額が一致するケースは少ないため、確定申告で税金の過不足を精算することになります。 

会社員であれば税金の過不足を勤務先の年末調整で精算できますが、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)など、年末調整の対象外となっている所得控除・税額控除を適用するためには確定申告が必要です。 

個人事業主も税金が源泉徴収されていることがありますので、確定申告を行う際は先に支払っている税金の額を確認してください。 

還付申告ができる期間は5年 

納税申告の場合、申告期限までに申告・納税を済ませないとペナルティが発生するのに対し、還付申告は申告期限を過ぎてから手続きしてもペナルティを受けることはありません。 

所得税の確定申告期間は、翌年2月16日から3月15日までの1か月間ですが、還付申告については年明けから申告することができます。 

納税申告の時効は申告期限から5年ですが、還付申告は年明けから申告書を提出することができるため、対象年分の年末から5年後が時効のタイミングになります。 

たとえば平成30年分の所得税の還付申告の場合、令和5年12月31日までに申告書を提出しないと、時効により還付金を受け取ることができなくなりますので、複数年分の還付申告書をまとめて提出する際は各年分のタイムリミットにも注意してください。 

確定申告書を提出してから還付金が振り込まれるまでの期間 

納め過ぎた税金は、住んでいる場所を管轄する税務署に確定申告書を提出し、税務署の審査を通過すると還付金として戻ってきます。 

確定申告書を提出する方法は、書面申告と電子申告(e-Tax)の2種類あり、還付金が振り込まれるタイミングは申告方法によって異なります。 

書面申告の場合、申告書を提出してから還付金が振り込まれるまで1か月から2か月程度かかり、所得税の申告期間である3月上旬から15日までに提出される申告書の件数は膨大となることから、還付金が振り込まれるのが更に遅くなる可能性が高いです。 

一方、e-Taxは申告してから2〜3週間程度で還付されますので、早期に還付金を受け取りたい場合はe-Taxで還付手続きをした方がいいでしょう。 

還付金を受取る方法 

確定申告の還付金の受取方法は、預貯金口座への振込みと、最寄りのゆうちょ銀行(郵便局)の窓口で受け取る方法があります。 

預貯金口座への振り込みは、申告書に銀行名や口座番号などの必要事項を記載すれば、税務署が指定した口座に還付金を振り込みます。 

ゆうちょ銀行等の窓口で受け取る方法は、ゆうちょ銀行等に行く手間がありますので、申告する人の名義の預貯金口座がある場合、振り込みによる受け取りを選択するのが一般的です。 

また、令和5年1月から還付金の受取方法の選択肢として、公金受取口座への振り込みが追加されました。 

「公金受取口座」は、給付金等の受取口座として任意で登録する制度をいい、登録を済ませている方であれば、確定申告の還付金を受ける口座に公金受取口座を指定することが可能です。 

還付金を預貯金口座への振込みで受け取る際の注意点 

預貯金口座への振り込みにより還付金を受け取る場合には、いくつか注意すべきポイントがありますのでご紹介します。 

振込先の預貯金口座は本人に限定 

還付金の振込先として指定する預貯金口座は、確定申告書を提出した本人の預貯金口座に限定されます。 

夫の確定申告書で還付金が発生した場合、振込口座として指定できるのは夫名義の預貯金口座に限られます。 

申告書に誤って妻名義の口座番号を記載してしまうと、還付手続きが滞ってしまい、還付金が振り込まれるのが遅くなりますので要注意です。 

また、本人の預貯金口座であったとしても、旧姓名義の預貯金口座は振込先として選択できません。 

申告書を提出する時点で旧姓の預貯金口座しかないときは、事前に預貯金口座の名義変更手続きを行うか、ゆうちょ銀行等の窓口で還付金を受け取ることを選択してください。 

インターネットバンクは振込先として指定できない可能性がある 

還付金の預貯金口座への振込先は原則として以下の預貯金口座に限られ、インターネット専用銀行の一部については振込口座として選択することができません。 

<還付金の振込口座に指定できる金融機関> 

  • 銀行 
  • 信用金庫 
  • 信用組合 
  • 労働金庫 
  • 農業協同組合 
  • 漁業協同組合 
  • ゆうちょ銀行 

インターネットバンクが振込口座に指定できるかは銀行によって違うため、所持している預貯金口座がインターネットバンクのみの場合には、還付金の振込先として指定できるか銀行に確認してください。 

確定申告書を提出しても還付金が振り込まれないケース 

確定申告は、必ず還付金が発生する手続きではないため、申告書を提出しても税金が戻ってこない場合があります。 

還付金が発生しない確定申告書を提出した 

所得税の申告で還付金が発生するのは、納め過ぎた税金がある場合に限られます。 

年末調整を行っている会社員・公務員などは、年末調整で税金の精算が完了している可能性がありますし、確定申告で医療費控除や住宅ローン控除を適用したとしても、先に納めていた税金がゼロであれば還付金は発生しません。 

還付金の振り込み手続きに時間がかかっている 

確定申告書は、税務署の職員が申告内容をすべてチェックしますので、還付金が振り込まれるまでに時間を要します。 

所得税の申告書は年間で2,200万件以上提出され、大量の申告書が提出される3月は税務署の処理が追いつかず、還付金の振り込みが遅くなります。 

還付金を早期に受け取りたい場合は、申告書を1月または2月中に提出するか、申告期限を過ぎた後に申告するのがいいでしょう。 

還付申告は年明けから提出することができるため、申告書の提出件数が少ない1月から2月までに申告できれば、比較的スムーズに還付金を受け取ることが可能です。 

申告期限を過ぎると税務署に提出される件数は大幅に減少しますので、期限後に申告書を提出するのも選択肢の一つです。 

還付申告なら申告期限を過ぎてもペナルティはありませんし、戻ってくる税金も減りませんので、未提出となっている過年分の還付申告書をまとめて提出して還付金を受け取ることもできます。 

申告内容に誤りが判明した可能性 

提出した申告書の内容に誤りがある場合、税務署は還付手続きを中断します。 

簡易的な誤りであれば申告書を提出して間もなく税務署から連絡が入りますので、申告内容を修正して、還付金を受け取ることになります。 

一方、税務署が申告内容を詳細にチェックする必要があると判断したときは、税務調査が実施される可能性もあることから、還付申告であっても申告書は正しく作成することが大切です。 

また、確定申告書に添付すべき書類が不足している場合も、還付手続きがストップします。 

添付書類の中には法律で提出が義務となっているものも少なくありませんので、申告する際は提出すべき書類を事前に確認してください。 

還付金が振り込まれない時にやるべき手段 

確定申告書を提出しても還付金が振り込まれない場合、申告内容に誤りや添付書類漏れが見つかっていることが想定されます。 

そのため提出した申告書の控えを1度見直していただき、計算ミスや提出していない書類がないかチェックしましょう。 

申告誤りが判明して還付金が減る場合には修正申告、還付金が増える場合には更正の請求の手続きが必要になります。 

提出書類の不足が発覚した際は、不足書類を提出すれば還付手続きが再開されますので、未提出の書類を確認し、適宜税務署に提出してください。 

なお、申告内容に誤りが無く、書類不備もないときは税務署側に問題があることも考えられます。 

還付申告を行ってから2か月以上音沙汰がないときは、税務署に連絡して還付手続きの状況を確認してください。 

まとめ 

還付申告は申告期限を過ぎてから手続きすることもできますが、申告しないと払い過ぎた税金は戻ってきませんので、早めに手続きすることをオススメします。 

還付申告は申告期限を過ぎたとしてもペナルティはありませんし、還付金が減少することもないので、複数年分の還付申告書をまとめて提出するのも一つの方法です。 

お忙しい方や確定申告手続きに不安がある方は専門家に相談していただき、申告手続きを代行してもらうことも検討してください。 お困りのことがあれば【決算直前・無申告おまかせサポート】に、いつでもお問い合わせください。